ギリシャ神話の最高神ゼウスのたくさんの愛人たち。
ゼウスを象徴する惑星である木星の周りには、その愛人たちの名前のついた衛星がたくさん回っています。
その中でも、有名なのが「ガリレオ衛星」。
そのガリレオ衛星にまつわるギリシャ神話のお話シリーズ第2弾は、白い牡牛に化けたゼウスにさらわれた、美しい娘エウロパのお話です。
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○○になってイオに近づいたズルいゼウス!
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この記事では、そのエウロパとゼウスの物語を、中世の名画と、星座と、木星の周りを回っている「ガリレオ衛星」の中の「エウロパ」という”木星のお月さま”をご紹介しながら、見ていきましょう。
※動画「①エウロパ*ずるいよ!ゼウス!てのひらの宇宙にまつわる星とギリシャ神話のおはなし〜木星丘編〜ゼウスと4人の愛人たち後編」の内容を以下の記事で詳しく説明しています。
木星の月「エウロパ」
木星の月の中でも、最も知られているのが「ガリレオ衛星」と呼ばれる4つの星。
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この中の「エウロパ」は、ガリレオ衛星の中では一番小さい衛星で、
地球の月よりも少し小さいくらいの大きさです。

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写真を見ると、表面に、ひび割れや、筋みたいなものが入っているのですが
エウロパは、太陽系の衛星の中では最も表面が”若くて”なめらかなのだそうです。
まるでギリシャ神話に出てくる娘エウロパの肌の美しさを象徴するようですね。
表面は氷でできていて、その下には海が広がっているかもしれないとのこと。
高さ100km以上の水を噴き上げているところも確認されているところから
もしかしたら、生命体がいるのではないか?と言われている星なのですね。
これから研究が進められていくのが楽しみですね。
エウロパの物語
それでは、そんなエウロパの名前の由来となった、ギリシャ神話のエウロパの物語を見ていきましょう。
誘拐されたエウロパ
いつものようにゼウスがオリンポスの宮殿からフェニキアの海岸を眺めていますと
フェニキアのテュロスの王の娘であるエウロパが、砂浜で遊んでいるのが目に入りました。
この美しい娘は、私と結婚するために生まれてきたのだ!
とんでもない勘違いですね。
さっそくエウロパの元へ飛んで行こうとするゼウス。
しかし、この姿のまんまだと、すぐにゼウスだとわかって逃げられてしまいます。
う〜ん、どうしよう、と考えて思いついたのは・・・
そうだ!
白い牡牛になろう!
すごい思いつきですね。
そうして白い牡牛に化けたゼウスは、海を泳いで、エウロパの元へ出かけます。
そうとは知らないエウロパは、突然現れた白い牡牛を見て、最初はびっくりするのですが
白くて綺麗な牡牛の人なつこさに、だんだん心をゆるしていって・・・

ノエル=ニコラス・コワペル作 1690-1734年
お花の首飾りを飾ってあげたりして、白い牡牛がメロ〜ンと舐めてくるのも氣にしていませんね。
よっしゃ!
ゼウスも一生懸命!
背中に乗ってごらんとばかりにひざまづきます。
そうしてすっかり打ち解けたエウロパが、白い牡牛の背中に乗ったとたんに・・・
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ティツィアーノ作(1490-1576)
すごい速さで駆け出して、海を泳ぎ、エウロパを誘拐してしまうのです。
なんてあざといゼウス(汗)
クレタ島での幸せな生活
ゼウスはそのままクレタ島という、自分の故郷へエウロパを連れて行き、結婚式を挙げます。
ちなみに、この時、ヨーロッパ中を駆け巡ったので、その地をエウロパの名を残して「ヨーロッパ」と呼ぶようになったとされています。
それからしばらく、ゼウスとエウロパはクレタ島で幸せな日々を送ったようです。
エウロパとのことは、奥さんのヘラに知られずに済んでいるのですね。
めずらしい・・・。
3人の子供が生まれ、ひとりはクレタ島の王に、ひとりは法律家に、ひとりはリキュアの王になりました。
離れても見守るゼウス
ある日、クレタ島を去ることになったゼウスは、エウロパに3つの贈り物をします。
- クレタ島を守る青銅でできた巨人タロース
- かならず獲物をつかまえる猟犬レラプス
(おおいぬ座となっています) - 投げてもかならず戻ってくる槍
そうして、変身した牡牛を星座にして、天からエウロパを見守ったのでした。
おうし座のひみつ
この星座が「おうし座」です。
12星座のおうし座は、ゼウスの化身なのですね。
おうし座は、冬の星座。
見つけやすい「オリオン座」の右側に赤い星が見つかったならば、それは「アルデバラン」という星。
牡牛の右目です。
さらに、牡牛の肩のあたりには、あの「スバル」も。
ぜひ、冬には夜空を見上げて、探してみてください。